プレスリリース

平成18年9月28日
まき網漁業の効率化・経営健全化のため2つの調査を開始します-「海外まき網漁業のインド洋調査」、「完全単船式まき網漁船の実証化調査」-
(参考資料2)「完全単船式まき網漁船の実証化調査」

 北部太平洋海区における大中型まき網漁業は、網船、探索船、運搬船からなる4~5隻体制で船団を構成し、周年イワシ・サバ類を操業対象とする80トン型網船船団、カツオ・マグロ類とイワシ・サバ類を操業対象とする135トン型網船船団の2タイプがあります。 しかし、これら大規模船団方式は、人件費、燃油費、減価償却費等高額な経費負担、対象資源の減少や操業の不安定、魚価の低迷、乗組員不足と高齢化等多くの問題をかかえ、その経営は厳しいものがあり、撤退する漁業者も増えています。

 こうした中、当センターでは、コストを抑えた新しい操業システムとして、網船と運搬船の2隻で構成したミニ船団による調査を平成9年度から17年度に実施し、当該操業システムが採算的にも成り立つことを実証しました。 この結果に基づき、平成17年度から135トン型と80トン型のミニ船団各1ケ統が操業しています。

 北部太平洋まき網漁業協同組合連合会では、さらなる合理的な操業方法を探求するため、合理化委員会で「ミニ船団方式」から「完全単船方式」へ移行すべく検討を重ねてきました。 その結果を水産庁の「漁船漁業構造改革推進会議」に提案し、この会議において次世代型として早期に実証化の必要がある漁船像のひとつとしてとりまとめられました。

 当センターでは、平成18年度から5カ年にわたる新たな中期計画において、海洋水産資源開発事業の一環として省力化による経費の削減、安全性、労働環境改善、付加価値向上等をキーワードに次世代型漁船による実証化調査を実施することとしました。 その一つとして、北部太平洋海区における完全単船式まき網漁船の実証化のため、この度竣工する北勝丸(300トン)を用船して調査を実施することとしました。 北勝丸(建造費15億円)の損益分岐は5.8億円と見込まれています。本調査は北勝丸のシステムがコスト並びに水揚げ金額両面で採算がとれることを実証することにあります。

 具体的には、単船方式による効率的操業パターンを確立すること、液状氷製造装置による鮮度保持と生鮮製品生産比率の向上を図り販売金額5.8億円を達成すること、並びに乗組員15名体制の実現等によりコストを当該金額の範囲におさめることを目標としています。 また15名体制実現のため、揚網時の省力化を図る整反機、凍結品の移送作業軽減のための「オーバーフロー方式」、イワシ・サバ類操業時の漁獲物取り込み及び水揚げ用のフィッシュポンプ、漁労機械の集中制御、冷凍冷蔵設備のコンピューター制御等を導入しています。



<用語説明>
・液状氷製造装置:
 海水から、真水の粒氷を製造し、これに海水を混ぜ液状とする装置。
 海水との比率変更が容易で真水氷の  粒子が小さく、漁獲物の冷却効果が高い。
 カツオ・マグロ類漁期における鮮度保持と生鮮魚の生産比率アップが期待される。


・整反機:
 揚網時、網捌き機を通過した網に、先端部が回転するV字型の装置を船尾から船首方向へ水平移動させることにより、網置き場に網が平均に重なり落ちるようにする装置。


・オーバーフロー方式:
 漁獲物凍結後にブライン液をハッチ口からあふれ出させ、浮いてくる凍結魚を受け他の魚倉に移送させる方法。
 ブライン液を抜き、乗組員が魚倉に入って行ってきた従来方式に比べ、省力化が期待される。