プレスリリース

平成19年5月23日
独立行政法人水産総合研究センター
東北地方のふ化場で採卵授精方法の改善によりサケのふ化率が約10%向上


 水産総合研究センターでは、本州太平洋側におけるサケのふ化放流技術の向上を図るため、昨年度から岩手県(宮古市)に東北区水産研究所調査普及課を設置して、研究開発の成果に基づいた技術指導をしています。 岩手県では近年、サケの沿岸漁獲尾数が低水準で推移していることから、その対策の一つとして、健全な卵を確保して健康な稚魚を放流することが重要です。

 岩手県沿岸域のふ化場では、サケ親魚を確保するための捕獲採卵場が河口付近にあることから、一部の捕獲採卵場では水に塩分が含まれており、授精の際に使用する水(接水)の確保が困難だったため、採卵場で卵と精子を混ぜてバケツ等に収容し、トラックで上流域のふ化場に運び、ふ化室の水で授精させていました。 この方法は、採卵から授精に至る一連の作業を迅速に行うことが困難で、ふ化率が不安定であるという問題がありました。

 そこで、東北区水産研究所調査普及課の技術指導により、2ヵ所のふ化場において、河口域で捕獲したサケ親魚を上流のふ化場の池に活魚輸送して、採卵授精したところ、ふ化率が83%から94%に約10%向上しました。 これらの卵から育てた稚魚は魚病等の発生もなく、4月下旬に放流されました。 今後、より多くの稚魚が親となって戻ってくることが期待されます。

 当センターでは今後も研究開発の成果による技術指導に努めていきます。
 なお、同様に昨年度設置した新潟県の日本海区水産研究所調査普及課においても、地元河川漁業団体から、稚魚の生産率が飛躍的に向上したとして感謝状が贈られています。



参考資料


本件照会先:
独立行政法人 水産総合研究センター
経営企画部 広報室 スポークスマン 本間広巳 TEL:045-227-2624
東北区水産研究所 業務推進部 業務推進課長 横内克巳 TEL:022-365-1191
  調査普及課長 八木澤 功 TEL:0193-71-1155