プレスリリース

(参考資料)
「水産業エネルギー技術研究会」の発足について


1.趣旨・目的
 近年の原油価格の上昇にともなう急激な燃油価格の高騰によって、水産業、特に漁船漁業の経営は採算がとれず危機的な状況に直面している。 このまま燃油の急騰が続くと、漁業者は廃業へ追い込まれ、食料自給率の向上どころか現状の生産量の維持さえ困難な状況になると予想される。 この原油価格の急騰には投機的な側面があるものの、経済成長の著しい新興国の潜在的な需要の増大により、原油価格は将来的にも高水準で推移すると考えられる。

 漁船漁業においては、収益性を向上させるために従来から速力抑制や操業法の見直し、LED光源の導入や船型改良など、ソフト・ハード両面から様々な省エネルギー技術の研究開発が行われてきた。 しかし、研究開発は個々の省エネルギー技術の開発に終始し、将来的な生産構造を考慮した総合的かつ体系的な視点からは実施されていない。 将来の地球環境問題や燃油高騰問題に水産業が適確に対応するためには、漁船漁業をエネルギー消費の視点から見直す必要がある。

 そこで、独立行政法人水産総合研究センター(以下、水研センター)は、「水産業エネルギー技術研究会」を発足し、我が国の漁船漁業をはじめとした水産業の効率的なエネルギーの利用による経営の安定化を図るために、エネルギー消費構造の実態を把握し、今後取り組むべき研究開発の方向性について検討する。 特に、将来的な生産構造を考慮した中長期的観点に立脚した水産業のエネルギー消費に関する体系的な研究開発の推進や開発された技術を現場へ導入するための施策等についても検討する。


2.研究会の構成等
 研究会は水研センター業務企画部を事務局とし、委員は、水研センター理事長が委嘱した学識経験者等から構成する。 必要に応じて作業部会(エネルギー利用適正化作業部会、水産物適正温度管理設定作業部会、LED導入推進研究作業部会)を設置する。


3.当面のスケジュール
 第1回水産業エネルギー技術研究会(8月上旬)
  作業方針や日程の確認(必要に応じて作業部会を設置)
 第2回水産業エネルギー技術研究会(11月)
  作業部会の報告とそのとりまとめ
 第3回水産業エネルギー技術研究会(2月)
  体系的な研究開発の推進や開発技術を現場へ導入する施策等のとりまとめ、発表次年度以降の活動方針の検討とその確認