プレスリリース

平成28年 7月 12日
国立研究開発法人水産研究・教育機構
株式会社ニッポンジーン
赤潮の発生を早期検知できる技術を実用化
  • ・海水中のDNA から有害な赤潮の原因プランクトンを簡単、迅速、正確に検出可能です
  • ・赤潮のモニタリングに活用することで、早期に適切な対策を講じることが可能となり、被害の軽減に貢献することが期待されます

水産業への赤潮の被害は甚大なものとなることがあり、その被害を防ぐためには、絶えず赤潮原因プランクトンのモニタリングを行い、早期に出現状況を把握し、生け簀の移動や餌止めといった対策をとる必要があります。赤潮原因プランクトンのモニタリングでは、顕微鏡観察で有害種を判定するとともに細胞密度を測定し、赤潮発生の状況を判断しています。しかし、これには高度な種判別の知識が必要で、細胞密度の測定に時間がかかるなどの課題があるため、モニタリングに掛かる負担を軽減できるよう、簡単、迅速、正確に検出できる技術の開発が求められていました。

国立研究開発法人水産研究・教育機構と株式会社ニッポンジーンは、水産研究・教育機構が既に確立していたDNA から感度良く有害赤潮プランクトンを検出する技術を発展させ、赤潮発生の早期検出技術の実用化のために共同開発研究に取り組みました。その結果、このたび、検出手順をマニュアル化するとともに、用いる試薬類などをキット化することで、カレニアミキモトイおよびシャットネラ属の赤潮原因プランクトンを簡単、迅速、正確に検出できるようになりました。種判別の高度な知識がなくても、本検出キットを用いて分析すれば、海水10mL 中に赤潮原因プランクトンが1細胞あれば検出できます。

赤潮原因プランクトンを発生のごく初期から高感度で検出できる本検出キットを活用することで、早期に適切な対策を講じることが可能となり、赤潮による水産業への甚大な被害を軽減することに貢献することが期待されます。

*本成果の一部は水産庁委託「赤潮・貧酸素水塊漁業被害防止対策事業」の中で得られたものです。


詳細資料

本件照会先:
国立研究開発法人 水産研究・教育機構
瀬戸内海区水産研究所 環境保全研究センター 坂本 節子 TEL:0829-55-3695
瀬戸内海区水産研究所 環境保全研究センター 桑原 隆治 TEL:0829-55-3764
株式会社ニッポンジーン
研究試薬部イノベーション推進室 永井 秀和 TEL:03-3518-0835