プレスリリース

平成28年 8月 25日
国立研究開発法人水産研究・教育機構
日本海でクロマグロ仔魚の大量採集に成功
  • ・日本海でクロマグロ仔魚調査を行い、過去最多記録の40倍近い約3,300尾の大量採集に成功しました
  • ・仔魚サンプルの分析を通して、日本海生まれのクロマグロの、加入に関する研究の飛躍的な進展が期待されます

北太平洋の太平洋クロマグロ(以下、クロマグロ)の資源状態は、現在、歴史的最低水準に近いと推定されています。クロマグロ資源の増減には毎年の加入量が大きく影響すると考えられていることから、加入量の把握の強化が必要となっています。

日本海は、南西諸島海域と並ぶクロマグロの主要な産卵海域です。水産研究・教育機構は2011年から産卵場を時空間的に把握するために、また、今年度からは加入に関わる仔魚の生残メカニズムを解明するために、日本海で生まれたばかりの仔魚の調査を行っています。今年7月24日から8月5日まで実施した調査のうち、7月31日に兵庫県但馬沖で行った調査で、1回の曳網によりクロマグロ仔魚約3,300尾の大量採集に成功しました。この結果は、過去の最多記録(1984年の85尾)を大幅に更新するものです。

採集されたクロマグロ仔魚は体長が約3mmで、ふ化後数日の個体と考えられ、DNA分析により、すべてクロマグロ仔魚と判断されました。今回の大量採集の要因としては、これまでの経験を踏まえて例年よりも調査時期を遅らせたことや、実際に日本海での産卵が例年よりも多かった可能性等が考えられますが、現時点では明らかではありません。

今後、大量に得られた仔魚サンプルを用いて成長や栄養状態の解析を行うことで、加入水準の推定や、産卵場および産卵環境の詳細な解明など、日本海におけるクロマグロの加入に関する研究の飛躍的な進展が期待されます。また、今年の加入との関係については、今年9月に行う日本海での稚魚調査の結果や、11月からの対馬、五島での当歳魚の水揚げ状況等との関連なども注視しつつ、解析を進めていきます。

*本成果は水産庁委託「国際漁業資源評価調査・情報提供事業」の中で得られたものです。


詳細資料

本件照会先:
国立研究開発法人 水産研究・教育機構
国際水産資源研究所 くろまぐろ資源部長 島田 裕之 TEL:054-336-6032