プレスリリース

平成28年 9月 28日
国立研究開発法人水産研究・教育機構
世界初、スジアラの完全養殖に成功
  • ・世界で初めてスジアラの完全養殖に成功し、2.9 万尾の稚魚を育てました。
  • ・これにより、天然スジアラの保護、優良系統の作出、安全・安心な養殖スジアラの提供などが期待できます。

スジアラは熱帯・亜熱帯海域に生息するハタ科魚類で、沖縄地方では「アカジン」と呼ばれています。南西諸島や中華圏(中国本土、香港、シンガポール、台湾等)では高級食材として高値で取引されており、特に赤色が強いスジアラは高価です。

近年、スジアラは世界的に漁獲量が減少しており、適切な資源管理が求められています。一方、水産研究・教育機構は世界に先駆けて10 万尾単位での種苗生産を可能とし、地方自治体等でも新たな養殖対象種として研究開発が進められています。しかし、これまでの種苗生産方法では、親魚として天然スジアラを必要とするため、より天然資源の保全に適した「完全養殖技術」の確立が望まれていました。

このような背景の下、水産研究・教育機構は、人工飼育下で生まれ育ったスジアラの雌雄から受精卵を得、その受精卵を用いて、2016 年7 月28 日に人工飼育下で2.9 万尾(生残率24.2%)の種苗を生産し、世界で初めてスジアラの完全養殖に成功しました。

本成果は、天然魚を利用しないスジアラの種苗生産を可能にし、スジアラの天然資源の保全に貢献できます。また、世代を重ねることで赤い体色や高成長といった産業上有利な形質を持った系統を選抜できます。さらに親魚養成や種苗育成等のすべての養殖工程を人為的に管理できることから、安全・安心な養殖生産物の提供が期待できます。


参考資料

本件照会先:
国立研究開発法人 水産研究・教育機構
西海区水産研究所 亜熱帯研究センター 小磯 雅彦 TEL:0980-88-2571
西海区水産研究所 亜熱帯研究センター 山口 智史 TEL:0980-88-2571
西海区水産研究所 業務推進課 小林 真人 TEL:095-860-1626