プレスリリース
平成28年 11月 2日
国立研究開発法人水産研究・教育機構
国立研究開発法人水産研究・教育機構
カキ殻加工固形物を用いたマガキの天然採苗技術を開発
- ・養殖カゴなどに粒状のカキ殻加工固形物を入れて潮間帯に設置することで、付加価値の高いシングルシードのマガキ種苗を簡単に確保できる天然採苗技術を開発しました
わが国の各地に展開する中小のマガキ養殖生産地は、主に宮城県や広島県などから購入する天然種苗で支えられていますが、災害時や採苗不調時には価格の高騰や安定供給への懸念が生じます。
そこで、生産地ごとに自前で種苗を確保する“地場採苗”を支援するため、シングルシード(一粒種苗)のマガキ種苗を簡単に確保できる技術を開発しました。これは、カキ殻を粉砕・加工した固形物「ケアシェル」を養殖カゴなどに入れ、潮間帯に設置して天然のマガキ稚貝を付着させて採苗する技術です。本技術は一般的な天然採苗に必要な浮遊幼生や稚貝の出現状況の調査が不要で、中小の生産地でも活用できるため、種苗確保の安定化への貢献が期待されます。
さらに、本技術で得られるシングルシードは、付加価値の高い生食用の殻付きカキの生産に適しており、中小の生産地のマガキ養殖業の収益性の改善にも貢献することが期待されます。
本成果の詳細は、2016 年度日本水産増殖学会大会(三重大学)で11 月3 日に発表します。
*なお、本技術は、三重県水産研究所や鳥羽磯部漁業協同組合・浦村アサリ研究会、ケアシェル(株)とともに、農林水産業・食品産業科学技術研究推進事業委託事業「新技術による地場採苗を活かしたマガキ養殖システムの開発」で開発したものです。
本件照会先:
国立研究開発法人 水産研究・教育機構 | ||
増養殖研究所 養殖システム研究センター | 長谷川 夏樹 | TEL:0599-66-1830 |
増養殖研究所 業務推進部 | 乙竹 充 | TEL:0599-66-1831 |