プレスリリース

平成29年 9月 26日
国立研究開発法人水産研究・教育機構
海苔を原料とする麹-海藻麹- を初めて開発
  • ●海苔醤油の醸造期間を1/3に短縮できる海藻麹の製造に、世界で初めて成功しました。
  • ●水産研究・教育機構が開発した海苔醤油は、穀物アレルゲンを含まず、機能性成分を豊富に含んでいます。海藻麹により、その特徴を保ったままでうま味がさらに増します。
  • ●コンブ類やアカモクなどの海藻を材料とした麹の開発など、海藻の有効利用が広がります。

発酵食品には、7,000 年以上の長い歴史があり、その健康機能性などから近年、益々熱い注目を集めています。しかし、ごく最近まで海藻を発酵させた食品素材はありませんでした。

2000 年代に水産研究・教育機構が、海藻を乳酸菌発酵させた海苔醤油や、酵母菌発酵を用いた海草ビール様素材などを開発しています。しかし、糸状菌発酵を用いた海藻の麹はありませんでした。麹は、味噌、醤油、酒類の製造工程に欠かせない発酵の基盤となる素材であり、海藻麹の開発により、発酵技術を用いた海藻の利用の幅が広がることが期待されていました。

そこで、水産研究・教育機構、三重大学および丸秀醤油株式会社が協力して海藻麹の開発に取り組み、海苔に麹菌(Aspergillus oryzae)を生育させた海藻麹の製造に初めて成功しました。

この海藻麹を海苔醤油の製造過程で添加することにより、海苔の分解・液状化が大幅に促進され、穀物アレルゲンフリーである海苔醤油の特性を生かしたままで、従来1 年半かかっていた醸造期間を半年程度に短縮することが可能になります。また、海苔醤油は大豆醤油に比べ後味やコクが豊かであるこという特徴がありますが、麹の作用によりさらに味に厚みを加えることができます。

今後は、コンブ類やアカモクなど他の海藻を用いた麹など、海藻の新しい発酵食品としての利用法の開発につながると期待されます。

*本成果の一部は国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構生物系特定産業技術研究支援センター委託「革新的技術開発・緊急展開事業(うち地域戦略プロジェクト)」の「低価格な養殖ノリの利用拡大によるノリ養殖の競争強化」により得られたものです。


詳細資料

本件照会先:
国立研究開発法人 水産研究・教育機構
瀬戸内海区水産研究所生産環境部 内田 基晴 TEL:0829-55-3430
吉田 勝俊 TEL:0829-55-3493
国立大学法人三重大学
地域拠点サテライト 荒木 利芳 TEL:0595-41-1071
丸秀醤油株式会社
秀島 宣雄 TEL:0952-30-1141