プレスリリース

令和3年12月 7日
国立研究開発法人 水産研究・教育機構



絶滅が危惧される日本産イシナマコ類を2 種と同定
  • ・沖縄島・八重山諸島のイシナマコ類は、Holothuria nobilis 1種が分布しているとされてきましたが、遺伝子や、骨片などの形態的特徴を検討した結果、H.nobilis は同定されずH.whitmaeiH.fuscogilva の2 種が同定されました。
  • ・イシナマコ類はIUCN レッドリストで絶滅危惧・危急種に指定されていますが、種組成を正確に同定することによって、生活様式を考慮した効果的な保全策を取ることが可能となります。
 イシナマコ類は、クロナマコ科に属する体長30 cm 以上の大型のナマコであり、インド・太平洋の熱帯・亜熱帯域に分布します。中華料理で最高級のナマコ食材として珍重されますが、世界的な乱獲により資源の減少が危惧されています。IUCN レッドリストで絶滅危惧・危急種に指定されているほか、2019 年にはワシントン条約(CITES:絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約)附属書II にも登録され、種の保全がこれまで以上に必要となっています。
 日本の沖縄諸島はイシナマコ類の分布の北限にあたり、これまでHolothuria nobilis 1 種のみが分布するとされてきました。しかし、今回、水産研究・教育機構の研究グループ(代表:谷田巖研究員)が、沖縄島及び八重山諸島のイシナマコ類を遺伝子や、骨片*などの形態的特徴から種を同定した結果、H. nobilis は同定されず、H. whitmaeiH. fuscogilva の2 種が同定されました。
 この2 種の生態は異なることが知られており、H. whitmaei は礁原など比較的浅い場所に多く分布し、冬季に産卵しますが、H. fuscogilva は成長に伴って海草藻場などの浅い場所から水深30m 程度の砂地へと生息場を移動し、夏季に産卵します。漁獲管理などの保全策を効果的に行う上で、本研究で明らかになった日本産イシナマコ類の種組成は重要な基礎的知見となります。


 本研究は、水産庁の「漁場環境改善推進事業のうち海洋生態系保全国際動向調査事業」の予算を一部使用して行われ、英文誌Plankton and Benthos Research 16 巻3 号200–209 ページに掲載されました。

※骨片:ナマコの体組織に含まれる様々な形状の炭酸カルシウムの小片で、分類において重要な形態学的特徴となります。

詳細資料

本件照会先:
国立研究開発法人 水産研究・教育機構
水産技術研究所 環境・応用部門 沿岸生態システム 谷田 巖 TEL: 0980-88-2867
Email: tanita_iwao39@fra.go.jp