プレスリリース

平成22年8月16日
(独)水産総合研究センター
運搬船の活用による操業効率の向上に手応え
~北太平洋公海域におけるサンマ漁場開発調査を実施~

 独立行政法人水産総合研究センターは、我が国にとって未利用の公海サンマ魚群を対象としたさんま棒受網による漁場開発調査を行い、運搬船を活用した漁獲量増大の可能性を確認するなどの成果を得ました。

 今回の調査は、① 運搬船を活用した操業効率の向上と操業範囲拡大の可能性の検討、② 灯付きが悪い公海域の魚群に対する集魚技術の開発を目的として、5月20日~7月31日、さんま棒受網漁船5隻(操業船3隻、運搬船兼操業船2隻)により、北太平洋公海域において調査を実施しました。
 その結果、合計漁獲量は1,698トン(運搬船の漁獲分を含む)、操業船1隻あたりの漁獲量は534トンであり、来遊状況は低水準であったにもかかわらず、好漁年であった平成20年度調査に匹敵するレベルの漁獲が得られました。その要因として、運搬船の活用による、①探索・操業可能な範囲の拡大(171°E付近まで)、②操業船の漁場滞在日数の延長、③運搬船を灯船として活用した効率的な操業の実現が可能であったことが挙げられます。

 また、灯付きの悪さを改善するための取り組みとして、LED水中灯の併用や赤色灯(台湾船が表層付近にサンマを集めるために使用)の使用を試みた結果、通常漁灯との光に対する行動の違いなどに関する情報を蓄積しました。

 今後、今回の調査で得られた結果に基づき、運搬船の適正船型や船団規模、さらに、集魚技術の検討を行い、漁期の拡大による大型さんま棒受網漁船の経営改善の可能性についてさらに検討を進めていきます。
 なお、外国さんま漁船100隻以上(台湾、韓国、中国)が公海で操業していることを確認しました。




<添付資料>
本調査の参考資料(PDFファイル)
本調査の参考資料 図表(PDFファイル)


本件照会先:
独立行政法人 水産総合研究センター
経営企画部 広報室 広報企画係長 佐野春美 TEL:045-227-2624
開発調査センター 底魚・頭足類開発調査グループ リーダー 越智洋介 TEL:045-227-2729
開発調査センター 底魚・頭足類開発調査グループ 担当調査員 平松 猛、阿保純一 TEL:045-227-2730