プレスリリース

平成23年2月2日
(独)水産総合研究センター
東京大学大気海洋研究所
人類が初めて目にした天然ウナギ卵
―ウナギ産卵場2000年の謎を解く―


 2008年より共同でウナギ産卵場調査に取り組んできた東京大学海洋研究所(現東京大学大気海洋研究所)と水産総合研究センターは、海洋研究開発機構の学術研究船・白鳳丸、水産庁の調査船・開洋丸と照洋丸、水産総合研究センターの調査船・北光丸、水産大学校の練習船・天鷹丸、北海道大学の練習船・おしょろ丸を動員して大規模なウナギ研究航海をマリアナ諸島沖に展開しました。

 その結果、 2009年 5月の新月、ついに世界初の天然ウナギ卵 31粒を西マリアナ海嶺南端部で採集することに成功しました。これは、東アジア全体に広く分布するニホンウナギの産卵場の位置とタイミングを厳密に特定する決定的証拠となりました。また、古代ギリシャのアリストテレスを悩ませた 2000年におよぶウナギ産卵場の謎が、完全に解明された瞬間といえます。また、開洋丸と北光丸が捕獲した親ウナギの解析も急ピッチで進み、回遊生態、産卵習性、繁殖生理に関する詳細な新知見が数多く得られました。これらの知見は、人工シラスウナギの種苗生産技術の開発に大きなブレークスルーをもたらすと同時に、世界的に激減したウナギ資源の保全と国際管理のための貴重な科学的根拠になるものと期待されます。

 これらの成果は英雑誌 Nature Communications (2011年 2月1日付け)に掲載されました。


参考資料


本件照会先:
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広報室 TEL:04-7136-6430

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