プレスリリース

平成25年 7月29日
独立行政法人水産総合研究センター
ブリの表皮に寄生するハダムシから身を守る遺伝子の存在を初めて証明
  • ブリでハダムシが付きにくくなる遺伝子が存在することを明らかにしました。
  • 魚類で初めて、外部寄生虫に抵抗性を示すための遺伝子を証明したことになります。
  • ハダムシが付きにくくなるブリの系統の作出が可能となり、養殖業者の負担軽減に貢献できます。

ハダムシはブリの成長不良や細菌感染症を引き起こす原因となっており、ブリ養殖において深刻な問題となっています。ハダムシの駆除には頻繁にブリを淡水につける作業が行われますが、多くの労力が必要なため、養殖業者にとっては大きな負担となっています。

水産総合研究センター(FRA)の増養殖研究所と西海区水産研究所、東京海洋大学の研究チームは、天然魚にはハダムシが付きにくいブリと付きやすいブリがいることに着目しました。そして両者のDNA の差を探索し、ハダムシが付きにくくなる形質には外部寄生虫への抵抗性を示すと考えられる2つの遺伝子座が大きく関与していることを突き止めました。これは、外部寄生虫が付きにくくなる遺伝子の存在を証明した例として、魚類で初めてのことです。

この成果から、ハダムシが付きにくくなるブリの系統を作出することが可能となります。さらに、細菌やウイルスに強いブリ、成長が早いブリなどを作る研究が加速して行くことが大いに期待できます。


これらの成果をまとめた論文が、米国オンライン科学誌「PLOS ONE(プロスワン)」電子版2013 年6月4日に掲載されました。(http://dx.plos.org/10.1371/journal.pone.0064987)。


本成果は、農研機構生物系特定産業技術研究支援センターのイノベーション創出基礎的研究推進事業、平成21 年度採択課題「魚類天然資源から効率的に優良経済形質を選抜育種する技術の開発の研究」(研究代表者:荒木和男、増養殖研究所)によるものです。

別紙参考資料

本件照会先:
独立行政法人 水産総合研究センター
増養殖研究所 養殖技術部 育種グループ 尾崎 照遵 TEL:0599-66-1853
西海区水産研究所 資源生産部魚介類グループ 吉田 一範 TEL:0959-88-2750
経営企画部 広報室 角埜 彰 TEL:045-227-2624
国立大学法人 東京海洋大学
大学院 准教授 坂本 崇 TEL:03-5463-0355
広報室 田丸・小熊 TEL:03-5463-0355