プレスリリース

平成27年 4月16日
国立研究開発法人水産総合研究センター
ニホンウナギ成魚は深海でも日出・日没を感知
―規則的な浅深移動が産卵回遊ルートの解明に扉を開く―
  • ニホンウナギの成魚に超音波発信器を装着して産卵回遊中の行動を追跡した結果、日出の約1 時間前に潜行を開始し昼間は500-800m の深度帯を遊泳、日没時に浮上を開始し夜間は150-300m の深度帯を遊泳することが明らかになりました。
  • この日周行動は非常に規則的であり、遊泳深度データの変化から日出・日没時刻を特定できることから、遊泳地点の緯度経度が推定できるため、今まで謎であった日本からマリアナ海域への産卵回遊ルート解明への応用が期待されます。

国立研究開発法人水産総合研究センター(FRA)は、ニホンウナギの資源生態に関する調査をしています。遊泳生態の解明のため、平成22 年と24 年度に、深度データを発信する超音波発信器を装着したニホンウナギの成体を産卵場であるマリアナ海域や日本近海で放流して追跡しました。その結果、日出と日没などに関連した規則的な浅深移動が捉えられ、深度データから日出と日没時刻を特定できることがわかりました。日出と日没の正確な時刻がわかればその位置を特定できるので、深度が記録できる電子タグを装着したニホンウナギを放流してデータを集めることで、その移動した回遊経路を把握できる可能性があります。

本成果は、ニホンウナギの海洋における遊泳生態を明らかにする上で基礎的な知見を与えるものであり、謎であった回遊ルートの解明への応用も期待できます。本研究は、水産庁漁業調査船照洋丸により得られたデータを活用した、水産総合研究センター交付金プロジェクト研究「天然ニホンウナギの資源生態に関する研究」によるものです。この内容は、日本時間4 月16 日発行のオープンアクセスの国際雑誌PLOS ONE に掲載(PLOS ONE,http://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0121801)されました。

別紙参考資料

本件照会先:
国立研究開発法人 水産総合研究センター
中央水産研究所 水産遺伝子解析センター 張 成年 TEL:045-788-7620
増養殖研究所 資源生産部 山本 敏博 TEL:046-856-2887
中央水産研究所 業務推進部 市橋 秀樹 TEL:045-788-7602
経営企画部 広報室 関根 信太郎 TEL:045-227-2621