世界初!ナミハタの産卵行動の撮影に成功

2011.7.6掲載

 サンゴ礁にすむ魚の中には、産卵するときに、ある決まった場所に集まる習性をもつ種類がいます。このような、産卵の時だけに集まった魚の群れを「産卵集群」といいます。産卵集群ができる場所では、たくさんの魚を簡単に獲ることができます。しかし、産卵前に魚を獲ってしまうと、次の世代の魚が減ってしまうことが心配されています。

 沖縄のサンゴ礁でも、産卵集群をつくって産卵する魚がいます。その中の一種であるナミハタは、沖縄では大切な水産資源として扱われています。ナミハタの産卵集群の形成時期と海域は、地元の漁業者らによって経験的に知られており、これまで産卵集群の漁獲が続けられてきました。しかし、近年、ナミハタの資源量は少なくなっています。そこで、八重山漁業協同組合の電灯潜り研究会の人たちが中心となって、ナミハタの主要な産卵場であるヨナラ水道に、保護区を設けて産卵集群を守る取り組みが、2010年より始まりました。


 水産総合研究センターの調査によると、保護区を設けることで産卵集群が十分に保護されることが分かりました。しかし、産卵の詳しい様子や産み出された卵の行き着く先については、よく分かっていませんでした。そこで、保護区の中でナミハタの産卵の撮影を試みたところ、その撮影に世界で初めて成功しました。ナミハタの産卵はオスとメスのペアで行なわれること、ペアが海底から浮上しながら産卵すること、その時間帯は午後11時過ぎからの数十分以内であることが分かりました。

 ナミハタが産卵する時間と、その時間帯の海水の流れを合わせて考えると、保護区の中で産まれた卵の行く先が分かります。卵はやがてふ化して稚魚となりますが、ナミハタの子どもたちが育つ場所もやがて分かるでしょう。これらの成果により、ナミハタを上手に獲り続ける試み( 資源管理)に大きく貢献するものと期待されます。


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ナミハタ産卵の動画-ペア産卵その1
(2011年5月25日)
西海区水産研究所亜熱帯研究センター撮影
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ナミハタ産卵の動画-ペア産卵その2
(2011年5月25日)
西海区水産研究所亜熱帯研究センター撮影
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ナミハタ産卵の動画-複数産卵その1
(2011年5月25日)
西海区水産研究所亜熱帯研究センター撮影
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ナミハタ産卵の動画-複数産卵その2
(2011年5月25日)
西海区水産研究所亜熱帯研究センター撮影
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ナミハタ産卵の動画-放卵・放精
(2011年5月25日)
西海区水産研究所亜熱帯研究センター撮影