プレスリリース
平成16年11月10日
独立行政法人水産総合研究センター
独立行政法人水産総合研究センター
放流したヒラメを食べた主犯格はイシガニ
―胃内容物のDNA分析から判明―
―胃内容物のDNA分析から判明―
[要旨]
ヒラメの種苗放流では放流直後の急激な減耗が大きな問題となっている。しかしながら、その減耗要因は特定できておらず、主要因とされる被食(他の生物に捕食されること)についても実態はほとんど不明であった。そこで、水産総合研究センター日本海区水産研究所では、新潟県佐渡島の真野湾をモデル海域として実際にヒラメ種苗を放流し、減耗要因の定量的な評価を試みた。
真野湾に放流したヒラメ種苗(全長6cm)は、放流後1週間で個体数の7~8割が減少した。この期間のオニオコゼを始めとする魚食性魚類の胃内容物を顕微鏡観察により調べたが、これらの捕食だけでは放流直後の急激な減少を説明できなかった。
そこで、直接の顕微鏡観察による確認が困難なイシガニの胃内容物のDNA分析を行ったところ、ヒラメのDNAを高率で検出し、イシガニが放流種苗の強力な捕食者であることを定量的に明らかにした。被食尾数を試算した結果、放流後1週間のヒラメ種苗の個体数減少の約5割がイシガニの捕食によるものであり、ヒラメを減少させた主犯はイシガニであることが判明した。一方、オニオコゼを始めとする魚食性魚類の捕食も2割程度あった。
今回の結果は、放流ヒラメの個体数減少の大部分が被食減耗によることを捕食者ごとに定量的に示した初めての例である。また、これまで知られていなかったカニ類の捕食者としての重要性を指摘した点で、ヒラメ放流種苗の減耗要因解明への大きな第1歩となるものである。
今後は、捕食者の生態的特徴を考慮した減耗軽減手法を提案することにより、放流効果の増大につながる。
本件照会先:
独立行政法人 水産総合研究センター
総合企画室 広報課 広報官 飯田 遥 TEL:045-227-2624
日本海区水産研究所 企画連絡室長 入江隆彦 TEL:025-228-0457
海区水産業研究部長 佐藤善徳 TEL:025-228-0634
資源培養研究室長 首藤宏幸 TEL:025-228-0658
独立行政法人 水産総合研究センター
総合企画室 広報課 広報官 飯田 遥 TEL:045-227-2624
日本海区水産研究所 企画連絡室長 入江隆彦 TEL:025-228-0457
海区水産業研究部長 佐藤善徳 TEL:025-228-0634
資源培養研究室長 首藤宏幸 TEL:025-228-0658
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