プレスリリース
独立行政法人水産総合研究センター
独立行政法人水産総合研究センターでは,ニュージーランド水域のいか釣漁場の再開発を目的として,平成16年12月2日から平成17年5月4日までの間,ニュージーランド200海里水域において,ニュージーランドのイカ類ITQ(個別譲渡可能漁獲割当量)を管理する組織であるSquid Fishery Management Company Limited(SFMC)と共同で,調査船「第8白嶺丸」(276トン)により調査を行った。
12月から1月中旬にかけては,ニュージーランド北島及び南島の西側においてオーストラリアスルメイカを対象に調査を行い,1月上中旬に南島北西端付近で1日平均17トンの漁獲を得たものの小型サイズが主体であった。1月中旬以降は,ニュージーランド南島の南~東側においてニュージーランドスルメイカを対象に調査を行い,ベリアンバンク,カンタベリー湾周辺で大型サイズ主体の好漁域を確認した。漁場滞在1日当たり漁獲量はベリアンバンクでは平均5.4トン(最高13トン),カンタベリー湾周辺においては平均3.2トン(最高6.6トン)であった。
なお,調査船が確認した上記の好漁域を中心に当業船4隻が操業を行っている。
独立行政法人 水産総合研究センター
本部 総合企画部 広報課 広報官 皆川 惠 TEL:045-227-2624
開発調査部 開発調査1課長 小河道生 TEL:045-227-2729
・操業日当たり漁獲量の地理的分布図
・写真資料
用語の説明
1.ニュージーランドスルメイカ(英名New Zealand southern arrow squid, 学名Nototodarus sloanii)
ニュージーランド周辺に分布するスルメイカ類の1種。本種はニュージーランド周辺全域に分布し,かつては南島東岸を中心に漁獲されていた。
1970年代初め頃より次のオーストラリアスルメイカとともに日本のトロール漁船及びいか釣り漁船によって漁獲されるようになった。最盛期には毎年70隻以上の我が国の大型いか釣漁船が出漁していたが,近年では他海域に出漁するなどにより,出漁船が減少し,2002/2003年漁期には入域船がなくなっていた。スルメイカ類は1年生であるため、資源の年変動も大きく最新の資源動向の把握を行うことによって、企業化の可能性を探ることができる。
2.オーストラリアスルメイカ(英名New Zealand northern arrow squid, 学名Nototodarus gouldi)
ニュージーランドスルメイカとともにニュージーランド周辺に分布するスルメイカ類の1種。本種はニュージーランドの西岸からオーストラリアにかけて分布し,かつてはニュージーランド西岸において漁獲されていた。
3.ITQ
個別譲渡可能漁獲割当量
ニュージーランドでは漁業種類毎に魚種別のTACが定められている。TACを個々の漁業者に割り振ったものが個別割当(IQ)であるが,この個別割当を自由に譲渡できるのがITQ制度である。
4.EEZ
Exclusive Economic Zone(排他的経済水域)