プレスリリース
国立研究開発法人水産研究・教育機構
- 大規模なショウサイフグとゴマフグの交雑現象が発見されました。
- 発見された雑種の大半は雑種第一世代でした。
- これからも調査を進め、雑種鑑別めきき技術の開発につなげていきます。
食用とされるフグ(トラフグ属魚類)の種類は11 種類ありますが,同一種類でも外見の違いの幅は大きく、また、両親の種類が異なる雑種も知られています。雑種の場合、両親の種類の見極めが難しく、また毒が存在する部位が両親と異なる可能性があるため、現在は漁獲物から雑種を排除しています。雑種を確実に選別できる技術があれば、作業の効率化や消費者の安全・安心につながります。
そこで、当機構水産大学校は、IT 技術を利用したフグの雑種鑑別めきき技術を開発するため、フグ雑種のデータベース構築に必要なDNA 試料の採取を行っています。
2012 年以降、茨城県、福島県、および岩手県沖で大量に漁獲されるようになった種不明のフグが問題となっていました。2012 年から2014 年にかけてこれらの各県で採取された試料252 個体のDNA を調べたところ、ショウサイフグとゴマフグの間の雑種149 個体を確認し、その内訳は雑種第一世代が131 個体、雑種第一世代が純粋なショウサイフグやゴマフグと再度交雑した戻し交配個体が18 個体であることを明らかにしました。
このような大規模な交雑は他の海水魚で観察されたことはなく、今後、動向を注視していくとともに、調査を進めて雑種鑑別めきき技術の開発につなげていきます。
本研究成果は、2017 年4 月5 日に海洋生物学分野の有力ジャーナルであるMarineBiology 誌に掲載されています。
論文へのリンク:
http://link.springer.com/article/10.1007/s00227-017-3120-2
DOI: 10.1007/s00227-017-3120-2
※本成果は、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構生物系特定産業技術研究支援センターより委託している「革新的技術開発・緊急展開事業(うち地域戦略プロジェクト)」の中で得られたものです。
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